イレント国
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「…。……堪え、られない…。…」 ストレインが住む城の、各自の部屋に繋がる長い廊下で、娘は1人、天井を見て呟いた。 長い水色の髪が、さらりと肩から滑り落ちた。 イハル=ストレインである。 イハルはすっと視線を、窓の外に向ける。 ![]() こつ、と音を立てて窓に触れて、外の様子を凝視する。 外には魔獣が、何かを追いかけ走っていた。…。…何か、と言うのは間違いだろう。魔獣が追うのは只1つ。ラ・セラトゥルの住民のみだ。 魔獣が止まったと同時に、 ぎゃあああぁ…と、叫び声が聞こえた。 イハルは瞬間的に窓から視線を逸らし、 床を見た。 あまりにも残酷で非道な光景。 それは目に焼き付き、声は頭の中で繰り返されていた。 堪えられないのはこの状況で、何故ストレインに入ったと、自分に問い掛けるが何も答えは返ってこない。 (……。…私は気がついたら、此処に居たんだ…。…判らなくて、当然だろうな…) そう考え、その疑問にケリをつけようとするが、それには無理があった。 イハルは、14歳の時には既に此処にいて、何も覚えていなかったからだ。 『記憶喪失』だと、レァツライはイハルに言ったが、何故かそれに違和感を感じてならない。 その所為で、この疑問は半永久的に自分の中にあるだろう。 それより今問題なのは、この状況に堪えられないと言うことだ。 ストレインにいれば、この状況はずっと続くだろう。ラ・セラトゥルが滅びるまで。だが、 滅びまでの時間は長く、気が狂ってしまいそうだ、と、イハルは思った。 (…。…この現状を壊す、何かが要るな…。) じゃあ、その何か、とは何だ? また自分に問い掛ける。しかし、何度問い掛けても答えは1つに辿り着いてしまう。 レァツライを倒す者が必要。と、言う答えに。 だが、イハルは不安だった。レァツライを倒せる者が、存在するのか?…と。 イハルはストレイン族の一員だから、レァツライの強さはある程度判っている。空間を造 りだす能力。他人の心臓を喰らい、自分の力として使う能力。 これだけでも厄介だと言うのに、レァツライは魔獣になれると言う能力を持っていた。そ れはレァツライが古代魔獣神と呼ばれる、神族だからと言う、簡単な理由だが。 それを知っているだけに、不安になってしまうのかもしれない。 レァツライの能力を知る者は居ないだろう。そう、自分達の様なストレインを除いては、 だが。 ふと、イハルの頭の中に1つの言葉が浮かんだ。 (…『長の能力を知っているのは、ストレイン族』……?) イハルは片手で口元を押さえ、考え込むように俯いた。 長…レァツライの能力を知るのは自分のようなストレイン。なら、自分が“何か”…いや、 “レァツライを倒す者”に成れば良いのではないか?…と。 無謀だ、危険すぎる。 そう思い、イハルは自室に足を進めようとしたが、どうしても割り切れず、足も進まない。 (…。…私は、本心では反逆を望んでいるのか…?) 何故か、その考えが異様にしっくり来た気がして、自嘲的に、軽く、薄ら笑いを浮かべる。 (ならば、やってやろう…。…狂うよりマシ、だろうな。) 死ぬ覚悟が出来ているワケではない…が、そうするしかないのなら、そうしよう、と、イ ハルは思った。 自分には家族なんて居ないのだから、迷惑をかけるという心配もないと、言い聞かせて。 そして、自分の部屋に足を進め始めた。 足を進めてる内にイハルの計画は実行と言う考えでまとまってきていた。 .......to be continued |
寄贈者のお言葉。良く読むように(笑)
取り敢えず第1話終了。
スローペースな…(殺
挿絵は頂き物絵の方にUPすると思われます。
宜敷お願いいたします★(何)
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