2神
アルテミス(天空界、人間界、黒魔界、神霊界、ラ・セラトゥルをまとめた名称)の地を
安定させるために居る“神”と、称される者達。
邪神 エリュディングス=カィラ。 魔神 ロイス=アフェレンス
炎神 フィスティニィ=アムルタート 狂神 クラウン=ド=クラウン
聖神 ディスフォメント=リズ   罪神 ロフォルカル=ダークフェイス
幻神 フィート=ラゼッア    獣神 レァツライ=ストレイン
無神 キギリ=エルハイド=ニュクス 虚神 シャーレン=ウェールシン
月神 リレィヴァ=シ・フォンテ  空神 アラストル=ガドナー

     
この中で、邪神エリュディングスとレァツライは仲が悪かった。いや、寧ろ天敵と言うべ
きだろうか。
同等に並ぶ実力と能力。2人共似ていたのだ、性格も含めて。
しかし、似ているから仲良くなれる等と言う常識のような考えは2人の間にはなく、
あるのは殺意だけだった。
しかし、それはイハルにとっては好都合だった。






天使ハレルヤ
             No.3.....神とトレイン。




       


「ふむ…12神ですか…。」
広い草原を歩きながら、アズベールは言う。
たったいま、唐突にアルテミス守護者、12神についての話をされた所だった。
「そう、12神だ。…神と言っても、神族ではないんだ。要するに名称、守人達をそう呼
んでるだけだがな…。…その中の、邪神と獣神…つまり、エリュディングス=カィラとレ
ァツライは仲が悪い。…それ所ではないな。天敵だ。」
イハルは淡々と話を続けながら足を進める。アズベールはそれについていってるだけで、
目的も何処に行くのかも知らされていなかった。
だが、この道をまっすぐ進むのならば、1つだけたどり着く場所があった。
そう、それは今話にも出てきた者。
鎖に繋がれた神族…邪神、エリュディングス=カィラの居ると言われる神殿だった。
(…。…神…ですか……)
柄にもなくぼけーっと気を抜けさせて、アズベールは思った。
(…殺してしまわなければ良いのですが…ね…。)
そう、思考を張り巡らせているアズベールに、イハルは声をかける。
「…。……どうかしたか…?」
軽く首を傾げながら、心配そうな声を出すイハルに、アズベールは思わず苦笑する。
「…いえ、何でもありませんよ。ただ、私は神と言われるモノが…大嫌いなだけでして。」
「……私も嫌いだがな。」
そう言い切ってすたすたと足を進める。そんな中、疑問を聞いてみた。
「…そう言えば、これから、何処に行くんです?」
アズベールの質問に、イハルは立ち止まり、軽く振り向いた。
「……邪神、エリュディングス=カィラの所だ。」
そして、そう一言発した。
(……矢張り、ねぇ。)
アズベールはその答えを聞き、自分の予測が当たった事を確認し、笑みを浮かべる。
「…邪神、ですか。はは、殺してしまわなければ良いのですが。」
笑みを浮かべたまま、冗談の様な口調で軽く言う。半ば本気なのだが、イハルがその本気
に気付くはずもなく、軽く苦笑して歩き出した。



 の頃一方、邪神の居る神殿、フェーノットでは…。



……じゃらり…。


鎖の擦れ合う音が聞こえる。
神殿の奥では、青髪の男が、鎖で繋がれていた。
揉み上げだけ異常に長く、腰まであって金具で下の方を止めていて。後ろはショートカッ
トの青髪。獲物を狙うように狂った瞳には不釣り合いなくらいの紺色をした眼。白いター
トルネックのトレーナーに、黒色の長ズボン。
手首や足首は、鎖で、後ろの逆十字から遠く離れられないように繋がれている。
この男こそが邪神、エリュディングス=カィラなのだ。


そして、エリュディングスの前には、1人の少女が立っていた。

黄緑色の髪が肩より少し下まであり、長袖で膝までの、黒いワンピース。黒いブーツを
履き、目は虚ろな、赤目。常に祈りを捧げるかのように手を合わせている…まるで自我を
持たないかの様な少女。年は12程……
そう…狂族ストレインの1人。レヴィだ。


『…クロヌ=ハィアムじゃないな……。…てめぇは誰だよ?』
エリュディングスはゆっくりと口を開き、レヴィに対して言う。
クロヌ=ハィアム…それは、アセリュイ村に住んでいた、邪神に仕える最高峰神官の少女
の名前だ。
その外見はあまりにもレヴィと酷似し、同一人物としか言い様がなかった。
違うと言えば、眼の色。あとは髪の色が若干違うくらいだった。

「………。…………………」
レヴィは沈黙のまま、歩みを進める。
エリュディングスは台に座ったまま、微動もしない。


『……。… お ま え は だ れ だ ? 』


エリュディングスは軽く溜息をついて、1文字1文字区切って発音する。
するとレヴィは、歩みを止めて、こう言った。

「……ストレイン…。…。……レヴィ=アタン=ストレイン………。」


蚊が鳴くような声で、ほとんど棒読みでそう言った。
その声は、まるで機械のように、決められた単語を発するものだった。

『…ほぉ、ストレインのガキか…。』
エリュディングスは楽しそうに笑った。
まるで退屈なときに、玩具を見つけた子供のように。

レヴィは再び歩みを進め、エリュディングスに近づいた。




―――――――――刹那。



  ひゅんッ…だんっっ!!
鎖で繋がれているはずのエリュディングスは、細身の何処に力があるのかが判らないくらいの勢いで鎖を壊し、レヴィに衝撃波を放つ。


 たんっ…。…ふぁっ…
レヴィは其れを軽いステップで避け、殆ど無音で空中に跳躍し、手を翳す。
その行動を見て、エリュディングスが行動を起こそうとした瞬間。




 ぐしゃっ…。



『…ッ…。…―――――――――――ッッッ!!』

エリュディングスは声にならない悲鳴を上げて、両膝を地面についた。
その胸からは、血が止めなく溢れて居た。
 すたんっ…
レヴィが軽やかに着地して、手を引くと、エリュディングスの胸から血飛沫が飛び散った。
レヴィの手元には何もないと言うのに、見えない“何か”は軽々とエリュディングスの胸
を貫き、此処まで血を流させている。その胸の所には、赤い鎖があった。
『ッ…見えない鎖か……小癪なッ…!』
エリュディングスがレヴィを睨み付けるが、殺人人形でしかないような表情で、見下すよ
うに相手は見ている。
『神と称される…モノに…匹敵する能力…。…神を貫く…鎖……。矢張り、お前は…!』
げほっ、とエリュディングスが軽く咳き込む。其れと同時に血が口からでる。吐血か喀血
かは判断し難いが。


『クロヌ=ハィアムなのか……!』


 じゃらぁっ!
『…がッ…。』
レヴィが手を引くと、見えない鎖は全て胸から引きずり出され、地面に落ち、消えた。

「……お喋…り…が……過…ぎる……。」
ただ喋って居るかのように、棒読みでレヴィは答えた。




そしてレヴィは踵を返し、その場を去った。


『……くっ…ぅあ……っ』
レヴィが去ったのを見て、完全に床に崩れ落ちる。
胸…と言っても、心臓を貫かれたワケじゃないのが幸いだった。エリュディングスの回復
力は高いから、死ぬようなことはないだろう。

『レァ…ツ…ライめ……。…あんな…ガキまで…巻き込ッ……。』
ずるり、と、匍匐前進気味に体を起こそうとするが、それさえもキツい状態だった。




エリュディングスは、そのまま気を失った。




イハル方面……。


「…。…風が変わったな。」
「……そうですねぇ。」
歩みを進めながら、ぽそりと呟いた言葉に、アズベールが反応する。
別に風向きが変わったわけでもないのだが、風の匂いが変わった。
明らかに‘異臭’が混じったのだ。
「…血の匂いですね。」
「……。…だな。」
幾ら状況を見てないとは言え、実力者であることに代わりがない二人だからこそ、ずっと
道の先にある状況を、僅かながらに感じとることが出来るのである。
「…どうします?イハルさん。」
「どうするもこうするも……進むしかないのだろうな。」
「…でしょうね。」
歩きながら、警戒を怠らず、喋る二人。
イハルの声は明らかに恐怖を含んで居て、まだ精神的に幼いのが感じられた。
ストレインでありながら、恐怖に耐えられないところを見ると、血が苦手なのだろう。
血…いや、死の間違いだろうか。
(…。…常に死と接していたでしょうに。)
アズベールはイハルを見て、軽く溜息をつく。
その年齢相応と言えない程大人びた態度、顔をしているのに、精神だけはそれ相応か、そ
れより下か…それとも、これが一般的、標準と呼ばれる物なのか。よく判らないが、イハ
ルは言うならば強がりに属するのだろう。
(…ま、こう言うものですかね。)
アズベールは視線(と、言ってもフードで隠れていて視点が何処にあるかは判らないが)
を、前に向ける。
そして、そのまま歩みを進めていった。


                   ...........to be continued


贈者のお言葉。良く読むように(笑)

こんなもんでス。
…エリュディングスの名字何だよって?
嫌だなぁ、ネタバレになるじゃないですか(爆
まぁ色々あるんですよ。うん(は
それでわー♪
                夕華


堕天使のハレルヤ 資料

エリュディングス
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レヴィ
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イハル
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制作・著作 夕華君  編集(多分)ハム

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